〽夜の甲府で はじめて逢って
恋のにがさを 知りました〽
クラウン時代のサザンクロスのご当地ものは札幌を除けば、比較的渋い箇所を歌った歌が目に付きます。
例えば仙台、前橋、金沢、名古屋(女子大小路)、四国なんかがあるのですが、意外とオリジナルソングで東京ものは2曲(しかもLP収録曲)しか無く、ムード歌謡の題材になりやすい東京ソングの少なさに改めて意外性を感じます。
さて、今回取り上げます『夜の甲府』も、なかなかムード歌謡の題材としては見かけない土地を歌った歌です。
ただ、この歌は元は山下洋治とムーディ・スターズがオリジナルで、サザンクロス盤はカバーという事になります。
メロディラインは同じですが、リズムが少し両者異なります。
ムーディ・スターズ盤は、シャッフルのリズムでの譜割でしたが、サザンクロス盤はそのリズムを廃し、また歌詞も出だしが一部異なります。
ムーディ・スターズ盤より音に厚みが増し、サックスの音色が如何にもムード歌謡らしい雰囲気を出し、夜のムードを醸し出します。
B面『わたしのあなた』は、黒沢明とロス・プリモスの名作『たそがれの銀座』のB面曲だった歌。
という事で本レコードは、AB面ともカバー作品という事になります。
ロス・プリ盤と同じカラオケを使用していますが、サザンクロスのコーラス、そしてボーカルの菅野優氏独特の甘いボーカルが、オリジナル盤とはまた異なる魅力を持って生まれ変わっており、彼らの”モノ”として昇華されています。
『夜の甲府』、『わたしのあなた』は共に、やや深めのリバーブがかかったミキシングが施されており、これが夜のクラブで生で彼らの歌を目の前で聴いているような、そんな感覚に陥ってしまいそうになる効果を生み出しています。
【レコードデータ】
レコード会社:クラウンレコード
レコード番号:CW-1809
発売日:1978年12月?日
A面 『夜の甲府』 作詞:広瀬善正 作曲:中川博之 編曲:神保正明
B面 『わたしのあなた』 作詞:川野ただし 作曲:中川博之 編曲:新井利昌
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