『わたし祈ってます』
原題は『幸せになってね』というこの曲は中川氏の作詞・作曲による作品ですが、作った当初は専属のレコード会社から「歌詞が説明的すぎる」という理由でレコード化が見送られた経緯があったそうです。
それを聞きつけた松平氏が「僕にやらせてもらえないか」と申し出て、ブルー・ロマンのデビュー曲B面として発売されたのが最初でした。
その後ハッピー&ブルーによって『わたし祈ってます』と改題、アレンジも大幅に変更されたものが大ヒット。
当初は見向きもされなかった曲が巷間に広まり、様々なコーラスグループや歌手によって歌い継がれるようになりました。
コーラスグループに限って挙げると、オリジナルの松平直樹とブルー・ロマンから始まり、敏いとうとハッピー&ブルー、三浦弘とハニー・シックス、黒沢明とロス・プリモス、森雄二とサザンクロス、ロス・インディオス、内山田洋とクール・ファイブ・・・と様々です。
今回ご紹介するのは南有二とフルセイルズのバージョンです。
フルセイルズバージョンはLP『南有二とフルセイルズ ゆうせん演歌』に収録されています。
アレンジはLPの発売が1975年ということもあり、前年発売されたハッピー&ブルーのバージョンを踏襲しています。
ただハピブルバージョンよりかはマイルド且つソフトなアレンジになっております。
南有二氏の歌唱もハピブルの森本英世氏と比べると、こちらもソフトに優しく歌われており、あまり情感を出さずに、ともすれば淡々と歌われていたのが印象的でした。
フルセイルズのオリジナルには『捨てられ女のうらみ歌』という曲があり、ここでの南氏の歌唱はドスの効いた情感溢れる歌唱を披露してくれたのですが、それとのギャップというか、対比して聴くと大変面白いです。
この2曲だけを見てみても南有二氏の歌唱表現の深さ・実力の高さを垣間見ることができます。
【レコードデータ】
レコード会社:ミノルフォンレコード(徳間音楽工業)
レコード番号:KC-7073
発売日:1975年10月?日
A面
1.『俺のボトルを飲むがいい』 作詞:生田圭 作曲:平尾昌晃 編曲:京建輔
2.『くちなしの花』 作詞:水木かおる 作曲:遠藤実 編曲:京建輔
3.『心のこり』 作詞:なかにし礼 作曲:中村泰士 編曲:神保正明
4.『十九の春』 沖縄俗謡歌 補作詞:本竹裕助 編曲:京建輔
5.『浮草の宿』 千家和也 作曲:彩木雅夫 編曲:神保正明
6.『酒場にて』 作詞:山上路夫 作曲:鈴木邦彦 編曲:神保正明
B面
1.『昭和枯れすすき』 作詞:山田孝雄 作曲:むつひろし 編曲:京建輔
2.『理由』 作詞:山口洋子 作曲:平尾昌晃 編曲:京建輔
3.『なみだの操』 作詞:千家和也 作曲:彩木雅夫 編曲:神保正明
4.『わたし祈ってます』 作詞曲:五十嵐悟(中川博之) 編曲:京建輔
5.『つかれたわけじゃないわ』 作詞曲:中村泰士 編曲:神保正明
6.『おんなえれじい』 作詞:生田圭 作曲:平尾昌晃 編曲:京建輔