〽きのこ雲なら 昔の夢よ 今じゃナイターが 夜空をこがす〽
上記のフレーズで始まるA面『広島新曲』(唄:灰田勝彦・柴田珠江・宮島太郎)は広島へ原爆が投下されてから18年後の1963年に発売されました。
広島=原爆というイメージが当時は世間的にやはり根強かったのでしょうか。
歌詞には広島のそういった暗いイメージを払拭するかのように広島の名所・名産(「平和通り」、「厳島神社」、「かき」、「広島漬」、「流川」)を随所にちりばめ「〽コイはコイでも一度はコイよ」と曲を聴く者を広島へ誘っています。
曲は小唄調のお座敷ソングっぽいつくりになっています。
4番構成で、1番を灰田勝彦氏、2番を柴田珠江氏、3番を宮島太郎氏が歌い、4番では全員で合唱というスタイルを取っています。
B面『瀬戸の夕月』
こちらはムードコーラスグループ・和田弘とマヒナ・スターズが歌唱を担当しています。
こちらはA面とは打って変わってマヒナらしいしっとりとしたムード歌謡曲です。
広島県内の瀬戸内が舞台となっています。
1番では広島県の東部に位置する「鞆の浦」から始まり「尾道」へ。
2番では「因の島」が登場し、3番ではさらに西へ移動し、呉市の「音戸大橋」、「(音戸)ロッジ」が歌詞に出てきます。
(余談ながら、この音戸ロッジというのは国民宿舎でこのレコードの発売1年前に開業しました。しかし2007年に閉館。現在は民間の宿泊施設となっています)。
黄昏時の瀬戸内を背景に、一組の男女の恋模様を切なく歌った佳曲です。
しかしながらあのマヒナが広島を舞台にした(しかも呉が登場する)曲を歌っていたとは・・・。
呉出身の私にとってはこのレコードを発見した時は大変驚き、また同時に感動したものです。
【レコードデータ】
レコード会社:ビクターレコード
レコード番号:VS-1034
発売日:1963年?月?日
A面 『広島新曲』 作詞曲:灰田勝彦 編曲:小沢直与志 唄:灰田勝彦、柴田珠江、宮島太郎
B面 『瀬戸の夕月』 作詞:井田誠一 作曲:灰田勝彦 編曲:灰田有紀彦 唄:和田弘とマヒナ・スターズ