〽想い出しんしん 雪になる
夜の札幌 すすきの海峡〽
ロス・プリモスが1987年リリースしたシングル、『別れの雨音』のB面に収録された『盛り場海峡』。
この曲はそのタイトル通り”盛り場演歌”的な要素が強い作風となり、ロスプリモスらしいムード歌謡からは少し離れた曲調となっています。
ロス・プリモスも80年代の後半になると本曲の様な、ムード歌謡から少し外れた、当時の演歌・歌謡界の時流に乗った作品がチラホラと見受けられ、これはこれで彼らの作風の幅、レパートリーの広さを窺わせます。
本作は、「はぐれたカモメが とまり木づたい」、「グラスを振れば 波の音」、「二人を乗せる 船がない」と、海辺リを想起させる歌詞が1番から3番まで散りばめられています。
これらがタイトルの『盛り場海峡』とリンクし、「夜の札幌 すすきの海峡」、「夜の東京 新宿海峡」、「夜の大阪 曽根崎海峡」という歌詞に集約、盛り場ネオン街の男女の実らぬ恋が歌われています。
さて、そんな『盛り場海峡』を作曲されたのは小林亜星氏という、ロス・プリモス作品としては少々意外(?)ともとれる人選。
小林亜星氏と言えばムードコーラスものとしては、『ふりむかないで』のヒット作がありますが、それ以外だとちょっとパッと思いつく作品が無く、意外と提供が少ないのかなとも思われます。
そういった意味でも、この曲は小林亜星作品では貴重なムード歌謡コーラス作品になるかと思います。
そんな小林亜星氏は、2021年5月30日に死去されたというニュースが、この記事を書いている2021年6月14日に報じられました。
改めて日本歌謡界のシーンで活躍された氏の功績を讃え、心よりご冥福をお祈りいたします。
【レコードデータ】
レコード会社:クラウンレコード
レコード番号:CWA-390
発売日:1987年1月21日
A面 『別れの雨音』
B面 『盛り場海峡』
両面とも 作詞:やしろよう 作曲:小林亜星 編曲:前田俊明