名ハードボイルド俳優・天知茂氏が最後に遺した音楽、それがこのLP『北の海にて』です。
このLPが発売されたのが1984年。
1985年に亡くなる前年、このような氏の音楽の集大成とも言うべきアルバムが発売されたのは何かの因縁だったのでしょうか・・・。
帯に書かれているように天知氏の芸能生活35周年記念として、全曲氏の作詞作曲によるオリジナル楽曲で構成されたまさに”意欲作”。
以下は収録曲です。
A面
1.おもいで演歌 (唄:天知茂)
2.渡り鳥 (唄:天知茂)
3.四畳半 (唄:池波志乃)
4.涙をためて (唄:天知茂)
5.星よ (唄:天知茂)
B面
1.北の海にて (唄:天知茂)
2.恋の花火 (唄:親王塚貴子)
3.別ればなし (唄:朝比奈順子)
4.カルメン幻想 (唄:天知茂)
5.マイフレンド (唄:天知茂)
作詞曲:天知茂(全曲)
共作詞:峰英樹(A-4)
編曲:京建輔(A面全曲)、高田弘(B面全曲)
天知氏はこのLPの構成、タイトル書も手掛けられており、また曲の合間にも氏のナレーションが挿入されていたりと、まさに「天知ワールド」を堪能できるアルバムかと思います。
基本的にゆったりとした感じの演歌が多いのですが、『恋の花火』は意外にも(他の楽曲に比べ)アップテンポなアダルトポップス調の楽曲なのに驚きました。
編曲の妙もあるのでしょうが、若々しい感じの曲で「こんな曲も書かれるんだ」という発見があり、なかなか良いと思いました。
『別ればなし』はメランコリックなメロディが個人的にツボで、このアルバムではなぜか一番印象的な歌。
『カルメン幻想』、カスタネットやギターの音色がスペイン民謡を彷彿させなかなか情熱的な歌曲。
このように、音楽にも精力的に取り組まれていた天知氏が翌年急逝してしまうとは・・・。
その後も生きておられたらどのような活躍をされていたのかということを思いめぐらせると、いてもたってもいられません。
このアルバムを聴く度、そんなことを思ってしまいます。
裏ジャケット
歌詞カードより